「夢」

しくて目が覚めた。夢を見て、その夢が悲しかった。


 次の日、直クンに聞いてみた。

「昨日の朝、僕は寝言を言ってませんでした? それも絶叫系の」

「いや。まったく熟睡していたので、気がつきませんでした」

「あの夢だったら、きっと大きな声で寝言を言っていたはずなのですが」

 夢の詳細はまったく定かではないが、目覚める寸前に覚えていたのはこんな光景。僕は長袖の下着を着て、腰まである雪をかき分け掻きわけ、「なんでだよう、なんでだよう」と叫びながら直クンを追いかけている。そこで目が覚めて、布団の上に正座して、しばらく呆然としていた。


 ふと思ったのは、ここ最近ゲームばかりしていて、直クンをかまっていなかったこと。直クンが風邪ぎみで横になっていたのに、僕は遊んでいたこと。

 夢は警告。僕は現実でいろんなことを考えているつもりだが、意識にのぼらないことは“ないこと”にしてしまっている。だからこの夢は何かの警告。

 今日は、5分でも早く帰宅しよう。