東京伝説 堕ちた街の怖い話|平山夢明|竹書房文庫|2010/09/10-09/17
|P191|自|4
何を言っているのかわからない人が、なにを言ったのかわかること
- はじめに
- (P3)
- 目次
- (P6)
- 林檎
- (P10)老婆が背中を舐める
- エアコン
- (P16)夏に温風
- アイモトヒカル
- (P22)ストーカー
- 引き屋
- (P28)縫合糸を引き抜くアルバイト
- シーハー魔
- (P32)楊子が肘に刺さった
- 吐く女
- (P35)皮下に寄生虫
- さて問題です
- (P40)浴室に開けた穴から大量のゴキブリ流し込み
- 紳士
- (P44)義父の盗撮
- サンドイッチ
- (P49)マンションの両隣りにサイコ
- 懇親会
- (P56)病巣を食べる仕事
- 復讐学旅行
- (P64)まゆみは最初笑って答えなかったが、小林さんが食い下がると「ある種の薬品と電撃で、人格って割と簡単に壊せるの。ウチのイトコ、あの当時そういうヤバい世界と接点があってさ。それが原因で死んじゃったけど」と言った
- 行商
- (P69)「フン、なに言ってるのよ。ドアが開いて返事したのはアナタに商品を買う気があったからでしょう。でなきゃ扉は閉じられたままのはずでしょう? こっちはわざわざ階段を上がって来てやったのに。どうなの? え、その態度はどうなの!?」と逆に食ってかかってくる。目がイッてしまっていた。「きっとこの店も女性客の飲み物になにか混ぜてるんでしょう? 混ぜてワケわからなくしてボロボロになった姿見てケラケラケラケラ
嗤 ってゴミ捨て場に捨てるような店なんでしょう? ちがうか!? ホラ、目をそらした! 図星だからでしょう!」女は自分の吐いた言葉にどんどん激昂 し、泡を吹かんばかりだった。「乱暴して乱暴し尽くして。あ! なにするの!? やめて! やめてください!」突然女はポケットからカッターナイフを取り出すとチキチキッ! と刃を押し出し、自分の服を引き裂き始めた - 出会い系
- (P71)陰茎が折れた
- 削減
- (P77)自傷し続ける
- なんでも屋
- (P82)不倫の嫌がらせ
- 雨の女
- (P89)大沼は顔をちゃんと見ようと、少し前屈みになった。すると女の胸元にラップで包まれた白い紙のようなものが貼ってある。『危険人間! 近寄るとやられます』真っ赤な極太のサインペンで殴り書きしてある。「で、え? っと思った途端」女が顔を上げた。顔中がぼこぼこしていた。「なんだか膿み崩れたみたいに、膨らんでできた
瘤 にヒビかあって中から赤や黄色の汁が出てたんだ」〈びびび〉女は奇妙な叫び声とともに抱きついて来た - 山の自販機
- (P92)取り出し口に瞬間接着剤、さらに猛犬
- 観覧車
- (P97)相席の男
- 沈黙
- (P102)部屋中に犬や猫の死体
- ナリスマ師
- (P107)失踪者の替え玉業
- おふくろの味
- (P111)小便入りぬか漬け
- 特客
- (P116)ゴミ部屋でデリヘル
- 夜の訪い 二題
- (P121)別な女性を殺した男に遭遇した
- 仕返し
- (P137)ニューハーフ相当
- 夜の鍼
- (P148)「さっきも言った通り、彼らはギリギリの気持ちで通ってきている。そのギリギリという気持ちの裏には楽になりたいという願いも隠れている。彼らは俺たちに楽にして欲しいとも思っている。つまり、殺せということだ。治らないのであれば殺して欲しいと。この辛い日々をあとどのくらい続ければ良いのか途方に暮れた時、彼らは俺たちにそれを望む。その時、
一縷 の望みを持っていたり治療の手応えを感じているのであれば、おまえはそれを拒否せねばならん。科学的な根拠としてではなく、ひとりの人間として関わり合いを持った者として己の精神に問うのだ。俺はそうしている。そうしているからこそ、彼らを受け入れることができている」 - 売女 二題
- (P150)バイブに瞬間接着剤。大猿と交尾
- メスモウ
- (P163)釣り針を瞼の中に入れて引っ張り合う
- カンナ
- (P172)足の裏を削る
- 玉葱女
- (P183)厚着、着膨れ
(表紙裏)明るい狂気が突き動かすのか、猟奇事件や怪奇事件は暗闇の中で増殖して、あなたをも確実に浸食しはじめている現在。他人に対する苛立ちはものすごいエネルギーで人を行動に駆り立て、信じられないことが日々おきている。まるで、憎しみだけが社会を成立させ、人間を結び付つけているようだ! 物語を失くしてしまった人々は始まりも終わりもない日常を生き、破壊の衝動だけを窒息しそうな肺に満たして、生き延びているに違いない。死こそ、生の証だ! 身体と心の痛みこそ、リアル! 熱帯夜のように煮えた脳髄の持ち主が、昼でも夜でも悪夢は実在することを私たちの目の前で証明してくれる。そんな堕ちた街の住人たちが繰り広げる暗黒の実話を集めた「東京伝説」第11集最新作です。平山夢明の手で、人間の暗部が抉り出され、体液が読者の顔に降りかかるような3Dタッチの描写で、救われないことが最高の救いのように饗応されます。ボナペティ!