新耳袋 第九夜|木原浩勝+中山市朗|角川文庫|2007/07/07-2008/05/13

新耳袋―現代百物語〈第9夜〉 (角川文庫)|P317|自|5
(くだん)について

第四話仏壇
(P24)寝ているお父さんには悪いが、部屋に入らせてもらおうと襖を開けた。お父さんの足元に仏壇がある。一瞬、それを見上げた。タンスかと思うほど大きかった
第六話内装作業
(P29)その足の気配から大男だというのがわかる。そいつが自分の真後ろから見下ろしている気がするので、振り返ることが出来ない
第八話迷走
(P36)「いやあ、便所行きとなってな、行ったんはええねんけど、家になかなか着かへんのや。着かんなぁ? 着かんなぁ? 家てこないに遠かったかな、思うてるうちに道に迷うてしもたんや。そやけどお前ら、こないに遠くまでよう迎えに来てくれたなぁ、ほんま助かった」
第十二話重い! 重い!
(P44)夜、お父さんに話すと「重い、重い、と思ったんだろ?」と言って笑い出す
第十八話托鉢僧
(P58)風呂桶の縁に一匹の大狸がのそりと座っていて、その尾っぽを湯船の中に、パチャン入れては出し、入れては出しを繰り返していた
第二十五話落ちた瞬間
(P76)泣き止むまでなだめてから詳しく聞くと、私が階段を踏み外した瞬間、壁から白い手が二本出てきて、落ちていく私の体をそっと支えて、トン、と廊下に着地させてくれたのだというのです
第二十八話深夜の営業マン
(P82)「でも、名刺は残ってるの、ほら」その名刺の電話番号にかけてみると「この番号は現在使われておりません」というコールが流れた
第三十三話ドアを開けると
(P95)「しばらくしたら消えたけど、あんなのそばで見たら大変よ」おばさんにいわれてはじめてゾッとした
第四十一話お船が出るよ
(P118)「あれ、お前知らんかったか。おじいさんは昔、戦艦大和の造船部長やったんやで。どっかに大切に隠しとったちゅう設計図が今はあの箪笥の中にあるんや。そんで鳴りよるんじゃ」
第六十五話続く
(P196)「それはわかってます。お宅とは何の関係もありません。深い恨みだけが流れついたみたいですね。だいぶ以前から関係のない人がもう何人も死んでいます。突然死ですか、お宅もそうなるところでした」すぐさまお祓いをしてくれた。えっ、それだけ? というほど簡素だったが、確かにその夜から女は来なくなった
第六十八話社長室その一
(P202)ある夜、視界の端に手が見えた時、思い切ってぐっとつかんだ。普通の手の感触だ。あっすみません、とにぎったその手を追うように後ろを見ると、ずっと離れた社長室のドアの間から、長い長い腕が自分の席までふわふわと伸びている
第八十話褌一丁の男の子
(P235)「しもたなぁ、きっと家が変わったから、帰る家がわからんようになったんやろ」とお父さんは心なしか寂しそうだった
第九十四話霧
(P279)早朝。東の芦屋・西宮方面の道路に発生する霧。その中に出現する直立した牛。時として群。赤い着物。そして目撃場所はすべて海側でなく山側