「超」怖い話Ν(ニュー)|編著:加藤一|竹書房文庫|2009/05/24-05/26

「超」怖い話N(ニュー) (竹書房文庫)|P217|自|4
だ、そのエピソードは完結していない、まだ続きがあるはずだ。それを全て見届けてから、そのすべてを記載すべきだと思った

まえがき
(P5)怪異は日光とも似ていて、多分直視できる人とそうでない人がいるのだろう。僕(編著者)は直視できないし、できればしたくない。だから、強い光を放って体験者に焼き付けられた〈怪異の影〉をそっと撫でて、その恐怖の手触りをできるだけ残すくらいの役回りに留まりたいと思っている
やまめ
(P14)身振り手振りで説明するうち、ふと思い出したように付け加えた。「他にも名前があるらしいんだが、教えてくれなかったんだよな。理由訊いたら、『山ンもンにゃあ、山の名前があるから。あンたはそれを知らんでいい』って」
フェリーと病院
(P71)隣室からの次の行動をあれこれと予想しつつ、仕切り板の隙間を凝視していたら。そこからこちらの個室に、黒くて細いものが入り込んできた。それは髪の毛の束だった。量で言えば小筆よりも更に少なく、長さで言えば二十センチほどだろうか。それが、毛先のほうから個室内に向かって〈シュッ〉と素速く差し込まれた。そして、同じくらいの速さで〈シュッ〉と出ていった
茶坊主
(P86)あまり休んでは、と再びパートに出たのだが……。「私の顔を見て全員が驚くんですよ。『ああ、あんたまだやんのかい?』なんて」リーダー格のおばちゃんが訊いた。「あんた、大丈夫なのかい?」何かよそよそしい雰囲気だ。「ええ、大丈夫です」周囲がざわついた。「……え、今度は大丈夫だったの?」「どうしてだろ?」小さな声だったが、明らかな驚きがあった