さあ、才能(じぶん)に目覚めよう|マーカス・バッキンガム:Marcus Buckingham、ドナルド・O・クリフトン:Donald O. Clifton、訳:田口俊樹|日本経済新聞出版社|2008/06/05-06/21

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす|P357|自|5
分の強みさえ分かれば、それをどう具体的にするかは明確なのだ

ダメージコントロール
(P12)個々の従業員の弱点を減らすために行われる研修。それを行う企業の方針
すぐれたマネジャー
(P12)従業員一人ひとりの才能に眼を配る。思い思いのやり方で仕事にあたらせる。従業員一人ひとりに異なる対応をする。最もすぐれた従業員とのつきあいに最も長く時間をかける
才能、知識、技術
(P34)才能……無意識に繰り返される思考、感情、行動のパターン。知識……学習と経験によって知り得た真理と教訓。技術……行動のための手段
ストレングス・ファインダー
(P93)http://www.strengthfinder.com

(P93)自分だけの特長的な資質上位5つ……内省、着想、戦略性、最上志向、収集心

最上志向(Maximizer)
(P124)優秀であること、平均ではなく。これがあなたの基準です。平均以下の何かを平均より少し上に引き上げるには大変な努力を要し、あなたはそこに全く意味を見出しません。平均以上の何かを最高のものに高めるのも、同じように多大な努力を必要としますが、はるかに胸躍ります。自分自身のものか他の人のものかに関わらず、強みはあなたを魅了します。真珠を追い求めるダイバーのように、あなたは強みを示す明らかな徴候を探し求めます。生まれついての優秀さ、飲み込みの速さ、一気に上達した技能――これらがわずかでも見えることは、強みがあるかもしれないことを示す手がかりになります。そして一旦強みを発見すると、あなたはそれを伸ばし、磨きをかけ、優秀さへ高めずにはいられません。あなたは真珠を光り輝くまで磨くのです。このように、この自然に長所を見分ける力は、他の人から人を区別していると見られるかもしれません。あなたはあなたの強みを高く評価してくれる人たちと一緒に過ごすことを選びます。同じように、自分の強みを発見しそれを伸ばしてきたと思われる人たちに惹かれます。あなたは、あなたを型にはめて、弱点を克服させようとする人々を避ける傾向があります。あなたは自分の弱みを嘆きながら人生を送りたくありません。それよりも、持って生まれた天賦の才能を最大限に利用したいと考えます。その方が楽しく、実りも多いのです。そして意外なことに、その方がもっと大変なのです
収集心(Input)
(P134)あなたは知りたがり屋です。あなたは物を収集します。あなたが収集するのは情報――言葉、事実、書籍、引用文――かもしれません。あるいは形のあるもの、例えば切手、野球カード、ぬいぐるみ、包装紙などかもしれません。集めるものが何であれ、あなたはそれに興味を引かれるから集めるのです。そしてあなたのような考え方の人は、いろいろなものに好奇心を覚えるのです。世界は限りなく変化に富んでいて複雑なので、とても刺激的です。もしあなたが読書家だとしたら、それは必ずしもあなたの理論に磨きをかけるためではなく、むしろあなたの蓄積された情報を充実させるためです。もし旅行が好きだとしたら、それは初めて訪れる場所それぞれが、独特な文明の産物や事柄を見せてくれるからです。これらは手に入れた後、保管しておくことができます。なぜそれらは保管する価値があるのでしょうか? 保管する時点では、何時または何故あなたがそれらを必要とするかを正確に言うのは難しい場合が多いでしょう。でも、それがいつか役に立つようになるかどうか誰が知っているでしょう。あらゆる利用の可能性を考えているあなたは、モノを捨てることに不安を感じます。ですから、あなたは物や情報を手に入れ、集め、整理して保管し続けます。それが面白いのです。それがあなたの心を常に生き生きとさせるのです。そしておそらくある日、その中に役に立つものが出てくることでしょう
戦略性(Strategic)
(P151)戦略性という資質によって、あなたはいろいろなものが乱雑にある中から、最終の目的に合った最善の道筋を発見することができます。これは学習できるスキルではありません。これは特異な考え方であり、物事に対する特殊な見方です。他の人には単に複雑さとしか見えない時でも、あなたにはこの資質によってパターンが見えます。これらを意識して、あなたはあらゆる選択肢のシナリオの最後まで想像し、常に「こうなったらどうなる? では、こうなったらどうなる?」と自問します。このような繰り返しによって、先を読むことができるのです。そして、あなたは起こる可能性のある障害の危険性を正確に予測することができます。それぞれの道筋の先にある状況が解かることで、あなたは道筋を選び始めます。行き止まりの道をあなたは切り捨てます。まともに抵抗を受ける道を排除します。混乱に巻き込まれる道を捨て去ります。そして、選ばれた道――すなわちあなたの戦略――にたどり着くまで、あなたは選択と切り捨てを繰り返します。そしてこの戦略を武器として先へ進みます。これが、あなたの戦略性という資質の役割です:問いかけ、選抜し、行動するのです
着想(Ideation)
(P156)あなたは着想に魅力を感じます。では、着想とは何でしょうか? 着想とは、ほとんどの出来事を最もうまく説明できる考え方です。あなたは複雑に見える表面の下に、なぜ物事はそうなっているかを説明する、的確で簡潔な考え方を発見すると嬉しくなります。着想とは結びつきです。あなたのような考え方を持つ人は、いつも結びつきを探しています。見た目には共通点のない現象が、何となく繋がりがありそうだと、あなたは好奇心をかき立てられるのです。着想とは、皆がなかなか解決できずにいる日常的な問題に対して、新しい見方をすることです。あなたは誰でも知っている世の中の事柄を取り上げ、それをひっくり返すことに非常に喜びを感じます。それによって人々は、その事柄を、変わっているけれど意外な角度から眺めることができます。あなたはこのような着想すべてが大好きです。なぜなら、それらは深い意味があるからです。なぜなら、それらは目新しいからです。それらは明瞭であり、逆説的であり、奇抜だからです。これらすべての理由で、あなたは新しい着想が生まれるたびに、エネルギーが電流のように走ります。他の人たちはあなたのことを、創造的とか独創的とか、あるいは概念的とか、知的とさえ名付けるかもしれません。おそらく、どれもあてはまるかもしれません。どれもあてはまらないかもしれません。確実なのは、着想はあなたにとってスリルがあるということです。そしてほとんど毎日そうであれば、あなたは幸せなのです
内省(Intellectin)
(P162)あなたは考えることが好きです。あなたは頭脳活動を好みます。あなたは脳を刺激し、縦横無尽に頭を働かせることが好きです。あなたが頭を働かせている方向は、例えば問題を解こうとしているのかもしれないし、アイデアを考え出そうとしているのかもしれないし、あるいは他の人の感情を理解しようとしているのかもしれません。何に集中しているかは、あなたの他の強みによるでしょう。一方では、頭を働かせている方向は一点に定まっていない可能性もあります。内省という資質は、あなたが何を考えているかというところまで影響するわけではありません。単に、あなたは考えることが好きだということを意味しているだけです。あなたは独りの時間を楽しむ類の人です。なぜなら、独りでいる時間は、黙想し内省するための時間だからです。あなたは内省的です。ある意味で、あなたは自分自身の最良の伴侶です。あなたは自分自身にいろいろな質問を投げ掛け、自分でそれぞれの回答がどうであるかを検討します。この内省という資質により、あなたは実際に行っていることと頭の中で考えて検討したことと比べた時、若干不満を覚えるかもしれません。あるいはこの内省という資質は、その日の出来事や、予定している人との会話などといったような、より現実的な事柄に向かうかもしれません。それがどの方向にあなたを導くにしても、この頭の中でのやりとりはあなたの人生で変わらぬものの一つです

(P184)世界の全人口の大多数が「自らの強みを深く理解すれば成長できるとは考えていない」
(P187)原因が人間性に関わるものでなければ、人はその失敗を認めることができる
(P189)強みに眼を向けず、弱点ばかりに神経を注ぐのは、勤勉なことでも、謙虚ことでもなんでもない。むしろ無責任と言ってもいい行為ではないだろうか

イプサティブ方式
(P205)たいていの性格検査では、ある資質にプラスがつくと、自動的にその反対の資質にマイナスがつく仕組み

(P208)資質は一生を通じてまず変わることはないが、新たな知識や技術を身につけた結果、意欲的に取り組める新たな分野が見つかる可能性は大いにある
(P228)弱点を克服する方法……1少しでもよくする、2サポートシステムをつくる、3才能の力で弱点に打ち勝つ、4パートナーを見つける、5とにかくやめてみる

〈最上志向〉を強みとする人の活かし方
(P265)・この人は仕事で最高の成果を収めることと、そのための手段を考えることに何より興味を持っている。反対に、失敗に終わったことをもう一度立て直すことには、あまり意欲を示さない。・だから、問題処理に終始する役割に就かせるのは考えものだ。・この人があなたに求めているのは、強みを認め、その強みを高く評価してもらうことだ。弱点を指摘し、矯正するよう指導してばかりいると、不満をつのらせるだけだろう。・この人の強みについてはことこまかに、その強みを企業の利益につなげるにはどの部署で、どういった業務にあたればいいか、本人とよく話し合うことだ。この人はそうした話し合いを好み、自らの強みを最大限に活かそうと、実用的な提案を次々と出してくるだろう。・できるかぎりキャリアパスを用意し、それぞれの段階に応じた報酬が得られるよう気を配る。そうすれば、この人は成長しつづけ、与えられた職務ですぐれた成果を収めるだろう。この人は自らの強みが活かされる道を無条件に選ぶ。収入は増えても強みが活かされない道を選ぶことはまずない。・企業内における最もすぐれた業績を調査するときには、プロジェクトチームの中心に据えるといい。生まれながらに優秀さに対する探求心を持っているからだ。・従業員一人ひとりの業績を評価し、それぞれに応じた賞与を与えるための査定プログラムが必要になったら、この人に任せるといい。各職務において優秀さとはどのように見えるものか、進んで考えてくれるだろう
〈収集心〉を強みとする人の活かし方
(P271)・天性の〈収集心〉を活かし、企業にとって重要な問題を調査させる。この人は調査を通じて知識が増えることに喜びを覚えるタイプだ。・大規模な調査を行う部署に配属する。・〈収集心〉以外のきわだった資質にも眼を向ける。〈成長促進〉にもすぐれているようなら、指導者や教育係としても手腕を発揮し、実話や寓話を織り交ぜた求心力のある指導をしてくれること請け合いである。・常に企業内のニュースを伝える。内情に通じている自分に満足を覚えるタイプだからだ。だから、きっと読みたがるだろうと思われる本や記事や書類は、できるだけこの人の手に渡るよう心掛ける。・インターネットを積極的に利用させる。必要と思われる情報はすべて集めてくれるだろう。集めた情報はすべてが即座に役に立つとはかぎらないが、情報収集はこの人の自尊心を高めるのに必要な作業なのである。・集めた情報を蓄積するシステムづくりを促す。システムが完備していれば、ときに応じて必要な情報を確実に得ることができる。・会議に出る際には必ずこの人に情報を求める。そして、折りを見て「きみにはわれわれが必要とする情報が初めからわかってるみたいだね。正直なところ、驚いている」といったような賞賛のことばをかける
〈戦略性〉を強みとする人の活かし方
(P282)・チームの最先端。それがこの人に最も適した場所だ。問題を予測し、解決するこの人の才能はきわめて貴重である。たとえば、あらゆる可能性を探るよう指示するといい。最良の対策を見つけてくれるだろう。最高の戦略を得るのに欠かせない人材である。・企業全体の戦略についても任せられる器だ。「こういったことが起きたときのために、どういう備えをすればいいか」にしろ、「ああいったことが起きたら、どう対処すればいいか」にしろ、尋ねたら必ず期待に応えてくれる。・この人に意見を求めるときには、状況を考える時間充分に与えることだ。自分の中で予測されるシナリオを描いてからでないと、この人は意見を口にしない。・この人の強みが〈戦略性〉であるとわかれば、戦略を練る力、あるいは未来を読む力を養う講座に参加させる。さらにすぐれた考えを生み出すようになるだろう。・この人は考えをことばで表現する才能も備えている。この人の思考力をさらに研ぎ澄まさせるには、同僚の前で話をさせたり、社内報に記事を書かせたりする方法も有効だろう。・あなたたちと同じ分野で、功を奏した戦略を聞いたり、それに関する記事を読んだら、できるだけ伝えるようにする。この人には大いに刺激になるはずだ
〈着想〉を強みとする人の活かし方
(P284)・この人は独創的な発想を持っている。だから、そうした発想が評価される部署に配置すべきであることは言うまでもない。・特に企画の面で秀でた才能を発揮する。販売戦略、市場キャンペーン、顧客サービスに関する問題処理、新製品の企画など、どんな分野であっても、企画立案の段階でこの人の才能を最大限に活用することだ。・企画を立てること自体がこの人の成長の糧となる。企業が予定してくる企画のアイデアを提示しておくだけで、意欲的にその仕事に取り組み、さらに自らのアイデアを見直し、発展もさせていくことだろう。・最も大切な顧客たちと共有できるような有益なアイデア、見識を思いつくよう促す。企業のほうからなんらかの考えを提供すると、顧客ロイヤルティーのレベルも向上するということが、ギャラップの調査によっても明らかになっている。・この人はことばが持つ力を愉しんでいる。だから、何かのコンセプトにしろアイデアにしろパターンにしろ、それらを的確にとらえたことばを思いついたときには、伝えるといい。着想の刺激になるはずだ。・この人は物事に一貫性がないと納得できない。だから、決定を下すときには時間を割いてでも、一つひとつの決定が共通の理論や概念から生まれていることを説明したほうがいい。・個々の決定がそれらを超える概念にそぐわないとき、これは例外であるとか、一つの実験であるとか、必ず説明をしておくといい。説明がないと、企業が支離滅裂状態に陥っているのではないかと心配しはじめるのがこの人の性格だ
〈内省〉を強みとする人の活かし方
(P289)・この人にとっては考えることこそエネルギーの源なので、その点を大いに活用するといい。たとえば、急に何かをしなければならなくなって、その理由を従業員に説明する必要が生じたときには、この人の助けを借りるといい。その事柄に関するすべての点を考慮して、だれもが納得する説明を考えてくれるはずだ。・ためらわずこの人の思考力の真価を問うこと。過小評価されたと思っても、この人はまったく意に介さない。それどころか、注目されている証であると考え、さらにやる気を起こす。・まとまった時間をつくり、考えることにだけ集中するよう勧める。ただ考えているだけでは何も生み出せない人もいるが、この人はちがう。思考力がより鋭くなり、本人の自信も増すようになる。・書籍や記事や企画案などに評価を与えなければならないときには、この人にも読んでもらい、感想を尋ねる。この人はまずまちがいなく活字の虫である。・この人の強みについては細かい点まで話し合い、客観的な眼を持たせるようにする。内省や自己発見に愉しみを覚える人なのだ。・考えていることを同じ部内の人たちに伝える機会を与える。そうすることで、この人の思考はより緻密に、より明確なものになる。・〈活発性〉にすぐれた人と組ませると、その人がこの人の考えやアイデアを行動に移すあと押しをしてくれるだろう
ポジティブ・サイコロジー
(P341)健全かつ順調な生活を送るための機能とは何か、という観点から人間の心理に迫る枠組み、パラダイムのこと。扱うテーマは楽観、プラス志向、精神性、幸福、満足感、自己開発、および安寧で、これらのテーマ、さらに類似したテーマについて個人、職場、家族、地域社会を対象に研究を行っている