『フラガール』監督:李相日/2006/日本

フラガール メモリアルBOX [DVD]
北の炭坑の町が、下火になってきた炭坑業の代わりの収益源にしようと、ハワイアンセンターを開設した。ハワイならやっぱりフラダンスなので、東京からわざわざダンスの先生を呼んだ。しかしこの“東京の先生”は失敗してこの炭坑町まで逃げ出してきたのだった。東京の先生は最初、ダンスのレッスンにも全然気が入らなかったし、炭坑町のもっさい娘どもを見ているとイライラしてくるのだった。でも、下手クソでも必死に練習を続ける娘たちに接するうち、東京の先生は熱心に指導し始めた。ハワイアンセンターの宣伝のためのドサ回りもやっと軌道に乗ってきた。その矢先、フラガールの一人、ちづちゃんの父が炭坑事故に遭い、その悲報を聞いても踊り続けたちづちゃんは父の死に目に会えなかった。「お前は、親の死に目にも会わせないのか。そんなにハワイアンセンターが大事なのか」と町の人は皆、東京の先生を責めるのだった。
 そこまで観たぼくは、プレーヤーの電源を切り、レンタルしていた『フラガール』のDVDを返却した。思うに、亀子の兄、鶴夫はほのかに東京の先生のことが好きなのだが、田舎育ちだからうまく感情表現ができないために、町の人から嫌われ去ってゆく東京の先生を引き留めることなど出来ず、そこへさらに炭坑事故が起こって、今度は事故に巻き込まれた鶴夫は瀕死の重傷で救出され、気がついた病室でにっこりと微笑む東京の先生と、妹の亀子とほっとした様子のお母さんを見て、思わず「こんなとこでボケっと突っ立ってないで、お前らの仕事はハワイダンスを踊ることだろう」と言ったりするのはどうだろうか。