東京伝説7 渇いた街の怖い話|平山夢明|竹書房文庫|2007/12/17-12/27
- 面接
- (P20)男は前歯を挟んだまま、狂ったようにペンチを動かした。歯茎が内側で裂け始め、物凄い痛みが変な方向からやってきた。ビリビリビリッと肉が盛り上がり、顔が割れそうになった。バキッ。飴を踏んだような音がした。ペンチに縦半分に折れた前歯があった
- ゼリービーンズ
- (P48)死んだ男の腹には、胃がはち切れんばかりのゼリービーンズが二リットル分も詰まっていたという。腹の裂け目からそれらを
穿 り出したのは、カラスが最初だろうと言われた。彼らが男の裂け目を拡 げ、ゼリービーンズを辺りに散らした。それを子供たちが好奇心から口にしたのである - 鰐笛
- (P68)埃のように小さなカス。それが沙織さんの見ている間に、ぴょんぴょんと炭酸の泡のように弾け出した。沙織さんの顔を見た友だちがふっとナプキンを顔から外した。舌がだらりと垂れていた。そこから噴き出た血泡が、唇から顎にかけてぶつぶつと湧いていた。蟲だった。小さな小さな埃のような蟲が、舌からライスの皿へと大移動を始めていた
- ボッキ
- (P83)彼は前日までに退職届を受理されていたので、単なる監禁致傷。教育委員会及び学校サイドはノーコメントということになった
- 手袋怖い
- (P89)「これは私個人の意見ですけれど、あの指はおそらく男性のものでしょう。奴は自分の存在を気づかせるためだけにああした大きな代償を払っている。その分を取り戻しに来ますよ、必ず。その時には、取り返しのつかないぐらい大きく持っていくでしょう」
- マヨネーズおじさん
- (P175)不思議なことに、マヨネーズおじさんというのは一過性のものではなく、数年おきに必ず新しい〈マヨネーズおじさん〉が登場するそうだ
- 帰り道
- (P176)双子に襲われている
- 「、」
- (P188)偶然、ついたものだと思っていたら「、」が「。」に変わっていた
- 跳ねて転んでまた飲んで
- (P203)パキンと音がしたかのように女の目が開くと、飛び上がった。そして立ったまま震えた。げぇぇぇぇと、長いゲップが続いた。口からは白い煙が立ち昇っていた。と、突然、女は膝を折るとその場に土下座をする格好になった