その幹は土台からまっすぐ上へ伸び、高さは50〜70cmくらいだった。太さは3cm前後。幹の色は茶色で、ところどころに細長く白い模様が入っている。幹から直角に枝が10本程伸び、その枝先は細く上下方向に分かれ、さらにその枝先も直角に分かれているごとく、枝先のパターンがさらに細かい部分にまでフラクタル的に繰り返されている。枝の色は幹と同様、茶色地に細長い白柄が入っている。幹や枝はしなやかで柔らかく、ゴムかソフトビニールのような弾力を持っている。果たしてこれが植物なのか作り物なのか不明だ。東洋風のこげ茶の棚に似たような幹が何本も並んでいたので、私は一番下の棚へそれを収納しふたを閉めたが、ふたの上部に生じた隙間から幹の一部と小枝が飛び出ている。ふと振り向くと、隣の部屋では逆光のなかで女性が前屈しているようだ。ここからは女性の顔は見えないが、ぴったりしたタイツを履いた下半身の雰囲気から女性であると知る。左側の部屋は薄暗く、部屋のまんなかにあるテーブルを囲んで女性二人が静かに話しこんでいる。その様子を見た私は、ここが植物園だとわかった。そして、最初に見た、土台に乗った柔らかい幹が性行為に関係する何かであると理解する。


 私はライトバン後部の荷物ドアより乗り込み、背もたれを乗り越え後部座席に座った。ふと後ろを見ると、荷物部の左内壁に小指の先ほどの小さい筒がくっついている。筒を引っ張ると、筒と内壁がゴムのような細い紐で結ばれていた。筒を覗くとレンズが見えたので、私は運転手に「隠しカメラだ」と言うと、とつぜん荷物ドアが開き黒人が「ハハハ」と入ってきた。黒人は小さいカメラを他に2つ持っていて、つごう3つのカメラで自分、運転手、私を写す。


 天井が低めの部屋の左側に入り口があり、老若男女たくさんの人が入ってくる。正面やや左側の靴箱にそれぞれ靴を入れ、右側から順に詰めて座る。どんどん人が入ってきて靴箱がいっぱいになり、靴箱の回りの床に靴を並べ、どうやら私の後方から左にかけても座っている気配だ。やがて正面に中年の男が一人立ちなにやら話し始め、みな神妙にそれを聞く。やがて右からおじいさんが現れ、よろよろと靴箱まで歩き、向きを変え中年の男の隣に立つ。近くの2、3人があわてておじいさんを左へ引っぱってゆく。私はそれを、ぼけたおじいさんが次は自分の番だと思ったのだなと解釈した。この一連の情景を、私はテレビのような四角い枠を通して眺めている。


 右足をつま先まで伸ばして前に出し、左足は曲げて腰を落とす。そして左右の指先でチュチュのすそをつまんで上半身を前に倒す。上体を起こして今度は左右の足を替え、腰を落とし上半身を倒す。これがバレリーナの挨拶である。私は夜道をバレリーナの挨拶を繰り返しながら軽やかに前進していた。下り坂の先に軽自動車がこちら向きに止まっていて、運転席のおかっぱ頭の女がこちらを見ていた。私は、あ、見られたと思い、バレリーナの挨拶歩きをスキップに切り替え、おかっぱ頭の女を気にしないように坂道を下ってゆく。下り坂はしだいに急勾配となり、スキップがホップ・ステップ・ジャンプのように大きなジャンプになってきて、それでも私は止まることができない。なぜならば、ジャンプするたびに、地面に私のものではない影が大きく写っていて、その影がまるで地面から手が突き出ているように見えるからだ。そういえば、おかっぱ頭の女の目は光っていたんじゃなかろうか。

上の4夢を一晩で見、4話目で恐怖感に襲われて目を覚ましました。目を覚ました後も、寝ている部屋に何かがいるような感じがしました。北側の壁のすみに何かが見えてしまうような気がし、目覚めた後もしばらく身じろぎできませんでした。気分が落ち着いてからトイレへ飛び込み夢の内容を急ぎメモしてから、携帯電話で時間を確認すると午前4時45分でした。後は輾転反側しながらまんじりともしません、まんじりとしていた。ああ! どっちだかわからん。