Q&A

(ananあたりから勝手に拾ってきたQ&A)

  1. スパラさんは今、恋人いない歴6ヶ月。ある日親友のA男から「ねえ、わたしの彼女の友達なんだけど、紹介したい人がいるんだ。今度4人で会わない?」と電話がかかってきました。さて、アスパラさんはOKしますか?

    「わたしに恋人が6ヶ月いないのは前提ね。で、A男と親友であると、これも前提ですね。A男は、彼女を紹介してわたしに恩を着せるヤツじゃないし、A男の彼女もわたし嫌いじゃないんで、OKすると思う」



  2. は、アスパラさんがOKしてもしなくてもA男はデートをすでにセッティングしていたのです。引っ張られるようにして待ち合わせのお店へ。A男によれば、これから会う人は、「わたしの彼女よりいい女」とのこと。アスパラさんはその言葉を疑ってしまう?

    「A男は強引てのは前提ね。A男はよく勝手に段取り進めたりするけど、A男の言葉は完全に信頼できるんだよ、これがまた。なんてったってA男の彼女より“いい女”はたくさんいるから、疑う理由はない。でも、質問に誘導を感じるぞ」


  3. 店に入ってすぐ、アスパラさんは店の中を見回しました。どんな人か一刻も早く知りたかったからです。でも、自分たちの方が早く着いたかもしれません。さて、女性2人はもうお店にいると思いますか?

    「わたしは待ち合わせ場所に不案内なんで、A男に同行することにします。A男の彼女の友達も不案内らしいんで、彼女たちも2人連れ立って来るって言ってたな。A男は店の場所を勘違いして待ち合わせの時間に少し遅れ、待ってた女性2人が注文したアイスコーヒーはすでに半分がた減って氷がカランと鳴った」



  4. に着いたのは3人でした。実は、A男が紹介することになっていた女性から「ちょっと遅れる」という連絡が入っていたのです。最初から遅れるなんて、失礼なヤツだと思いますか?

    「まだ来てなかったのか。すると、紹介される女性はこの店の場所を知ってるから、行動範囲がA男の彼女と重なると思ってもいいわけだな。A男の彼女と、もしかすると嗜好が似ているかもしれないのはいいスね。『あそこのどこ近く』って説明だけ聞いて一人で来るんだったら、少なくとも待ち合わせ近辺の地理に明るいってことだし。たぶん、彼女はここへ来るのにためらいと不安があって、そのためちょっと遅れる。だからあらかじめ連絡を入れてきたんでしょう?」



  5. っている間、A男はアスパラさんそっちのけで恋人とぴったり寄り添ってアツアツベタベタ。そういう2人を見ていると、うらやましいという気持ちより、「わたしだって負けるもんですか」という対抗意識のほうが強くなる。

    「負けるったって、何をどうA男に勝つつもり? わたしが、待ち合わせに遅れて来た女性とベタベタすることでA男に勝てるっていうのなら、質問の意図がわかんねーよ。A男は気を使わないヤツだし、ふだん通りってことじゃないのかな」



  6. て、いよいよアスパラさんの恋人候補がやってきました。「明るくて積極的なタイプ」と「マジメでおとなしそうなタイプ」の2種類に分けるとしたら、彼女は前者のタイプだと思う? アスパラさんのイメージで答えてください。

    「まだ彼女についてなんにも知らないんじゃ答えようがないな。要するに、どっちがわたしの好みかってことでしょ? だと、一見『マジメでおとなしそうなタイプ』で、話すと『明るくて積極的なタイプ』ってのは?」



  7. 「さあて、どこに座ってもらおうか」「恋人候補の指定席は男の子の隣に決まってるでしょ」と2人は勝手に彼女をアスパラさんの隣に座らせました。いきなり寄り添う形になりましたが、アスパラさんとしてはあまり気づまりは感じないほう?

    「距離感がわからないから、だれかの強引さに従います。初対面だと、自分で選ばなければ大丈夫だと思う」



  8. 「彼女ってモテるのよ。でも、どういうわけか決まった相手がいないのよね」と、A男がアスパラさんに耳打ちしてきました。それを聞いて、アスパラさんの心境は「不安になる」「期待感がふくらむ」の二者択一であれば後者のほう?

    「“どういうわけか”ってどういうわけだ? 決まった相手ができにくい理由を、友人(だったよね?)であるA男の彼女も知らんてことは、それほどの友達ではないか、自分のことをしゃべらない性格か、理由を他人に言えないかのどれか。“相手がいない”と期待感がふくらむし、いまいなければ次はわたしだと、そんな感じがあればなんとなく楽しいかな」



  9. をしていると、彼女は話題の豊富な人のようでいろんな面白い話をしてくれます。だからすぐに打ちとけて、まるで幼なじみといるみたいな感じに。となれば、いつまでも2人とも「ですます」調でしゃべるのは変だと思いますか?

    「そうそう。彼女のいなかは、わたしのいなかの雰囲気にとってもよく似てて、また年齢もそれほど開いてなくって、小さいころの遊びとか、よく見たテレビが同じでした。彼女はホントに細かく内容を覚えてるんで、忘れてたことをどんどん思い出せるんですよ。そういえば、いつのまにかくだけた話し方してたね」



  10. をしているうちに、どんどん彼女の好感度がアップしていきます。それに彼女の笑顔はとってもチャーミング。ついつい見とれてしまい、彼女と目が合ってしまいました。それでもアスパラさんは彼女を見つめてる?

    「こっち向く、と思った瞬間にクッと目をそらしても、じっと見ていたことはばればれでしょう。彼女が話しているときはできるだけ見るようには心がけたいし、見てるのか見てないのかどっちだろうね」



  11. 男は気を利かせたつもりなのか「じゃ、これからは別行動ね」と言ってサッサと彼女と一緒に店を出ていってしまいました。2人で残されてしまったけれど、これでA男に邪魔されなくてすむし、かえってホッとした?

    「こいつら仲人か。A男のペアは勝手にアツアツベタベタしてたから、邪魔されてたとは気がつきませんでした。びっくりしたのは、A男と一緒に店を出ていったのは、今日紹介されたばかりの彼女だったんだ。何をどうすりゃいいのか、わたしはA男の彼女といっしょに唖然としてた、なんてな」



  12. 人きりになったのに、アスパラさんと彼女はまだ並んで座ったまま。彼女もちょっとモジモジしている感じです。この際、アスパラさんが率先して「わたし、向こうに席を替わりましょうか」と言いますか?

    「2人横並びは不自然か、でも席を替えると嫌ってたって思われるな。ここは、『僕らも場所変えようか』と言ってみる」



  13. スパラさんはフレッシュジュースを注文したのですが、それがとっても美味しいので彼女に味見をさせたくなりました。でも、アスパラさんのストローを使って飲ませると間接キスになってしまいそう。さて、アスパラさんはそんなことはおかまいなしに「ね、飲んでみて、とっても美味しいから」と言えますか?

    「もちろん、ジュースは勧める。飲み方は指示しない。それより、彼女の飲んでるのをもらったほうがいんじゃない? そりゃ質問の意図と違うか。『そのジュースとばくって』と言います。“ばくる”は北海道弁で“交換する”意」



  14. 「じゃあ、とにかく食事でも」と言って2人で外へ。通りに出ると、車が猛スピードで走ってきました。車道を歩いている彼女が危ない! そう思った時、アスパラさんはとっさに彼女の手を引っ張って歩道のほうに引き寄せることができると思いますか?

    「できるといいですね」



  15. 女が連れていってくれたのは、最近テレビなどでも紹介された有名なイタリア料理のお店でした。「ねえ、ここよく来るの?」とアスパラさんがたずねると、「たまにね。でも男の子を連れてきたのは初めてだけど」という返事。この言葉、信じられる?

    「他の男とめし食っててもべつに。相手がウソをついてるかどうかって、聞いてもいないことを先回りして答えたりすることだと思う。でもまあ彼女の言葉は信じる。うーん、なんか揺らいでるね。動揺?」



  16. ムリエがやってきて「お久しぶりです」と彼女に話しかけてきました。「今日は恋人とご一緒ですか」と言われた彼女は、茶目っ気を出して「うん、だから今日はとびっきりのワインを出してよ」とリクエスト。ついでにアスパラさんの手に自分の手を重ねてきました。さて、こういう時は、アスパラさんも彼女の恋人を演じてみせますか?

    「彼女はしゃべりながら、ちょこちょこっとわたしに触れるんだなー。それはちょっと戸惑うけど、それがしぐさの一つだと思えば、さざなみが起るほどじゃない」



  17. の夜、彼女は家のすぐ近くまで送ってくれました。別れ際、彼女はアスパラさんの瞳をじっとのぞき込み、何かを待つようにジッと立ちつくしています。キスを求めているのは明らか。沈黙がとても長く感じられます。さて、こんな時、アスパラさんは「じゃあ、またね」と明るく言えますか?

    「この質問、つか全部あれだな、“彼”をそのまま“彼女”にしただけだろう。送るのは男だよ。ここは『家来る?』だろう違うか? “ある日”の“その夜”にそういうことになるかな。んーなるなる」



  18. スパラさんがサヨナラを言いかけると、「また会ってくれるよね」と彼女。「もちろん」。そう言うと、彼女はニッコリ笑って「電話するよ」。1回目のデートが無事に終わり、自室でくつろいでいると携帯電話の音が。「もしかして……」。さて、電話の主は彼女だと思う?

    「彼女は『電話する』って言えば必ず電話をする、そういう人だ。彼女の電話番号は聞いたんだけど、うかつなことに、じゃ、って別れた後でわたしの番号を教えてないことに気がついた。これじゃ、電話のかけようがない。そこで彼女は、A男の彼女→A男経由でわたしの電話番号を確認し、電話がかかってくると思ったわたしは携帯電話の応答ボタンを押す。『おー首尾はどうだった?』電話はA男だった」



  19. 話の主はA男でした。さっそく今日のデートの感想を聞き出そうと質問攻め。「ねえねえねえ、キスはしたの?」「キス? えへへ」「えへへじゃないの。したの、してないの?」さて、アスパラさんはウソでもミエを張って「うん」と言いますか?

    「『今ちょっと彼女が家来てて、すまんまたこんど』くらいは言いたい、言うだろう、ぜったい言う」



  20. 男の電話を切ったら、またすぐにコールが。出ると、今度は本当に彼女からでした。「忘れられないうちに念を押しとこうと思って」と言う彼女。「念を押すって?」「また会おうって約束さ。今度の土曜日はどう?」さて、アスパラさんは彼女に対して気を持たせるためにちょっとシブってみる?

    「シブる理由ねーなー。わたしのいない歴6ヶ月ってのは、彼女も知ってるはずなんで、シブるってことはわたしに女がいたってことにならんか? ならない。『土曜じゃなくてこれから会おう』とかなんでも言う」



  21. たもや電話がかかってきました。声の主は再びA男です。でも、今度は声がちょっと深刻そう。「どうしたの?」と尋ねると、「それがね、あなたに紹介した人には実は恋人がいるんだって」。そう聞いて、アスパラさんはかえって闘争心がわくほうですか?

    「そいつよりわたしの方がずっと魅力的だから、わかないわけなかろう! 無根拠でよし」



  22. 「それで終りじゃないの。しかもその恋人っていうのがレズだっていうの」「つまり……」「そう、つまり彼女って両刀づかいらしいのよ」。それを聞いて、アスパラさんは2人の花婿(ひとりは女)と腕を組んで神父の待つ祭壇へ向かう彼女の姿を想像してしまいました。さて、アスパラさんは両刀づかいの彼女と恋をする勇気はある?

    「しかしA男はひどい奴ですね。レズはわからん。男も女もって、両刀って言うんですね。恋人がレズでも、彼女がレズではないってことあるかな? レズってことは女で、その恋人も女だから、彼女もレズだな。A男のオネエ言葉もホモみたいだから、あいつらもけっこううまくやってるってことで、両刀づかいもよし! しかし結婚式まで想像するとは、いったい何から引用してんだ?」



  23. 「彼女、2年間アメリカに留学してたのね。レズに目覚めたのはその時だったみたい」「ってことは恋人はアメリカ人ってこと?」「みたい。ごめんね、そんな事情も知らずに紹介しちゃって。だけど、これ単なる噂話かもしれないの」「どういうことよ」「わたしの彼女も別の友達から聞いただけで、本人に確認をとったわけじゃないみたいだから」。さて、アスパラさんとしては、本人に確認をとる勇気はある?

    「その前に、わたしとA男のオネエ会話をなんとかしたい。噂は憶測を事実の如く伝播させるとして、アメリカといえばレズ、レズといえばアメリカ。日本人がアメリカでレズになるというのは、ヤンキー男にガキ扱いされた反動じゃないかな? しかし、友達を紹介する前に、『あなたレズ?』って確認できるか? 『レズは体によくない』とは言えるかもしれんが。事実確認は、当事者同士が行うべきだから、だから……レズってどうするのか聞いてみたい、本当にレズだったら」



  24. 話を切って頭を抱えていた時です。当の彼女からまた電話があったのです。「ごめん、土曜日のデート、キャンセルしてもいいかな。実は、アメリカから留学時代の友達が遊びにくることになっちゃって、成田に迎えに行かなきゃならないんだ」と彼女。さて、アスパラさんはこの際、本当のことを彼女から聞き出す勇気はある?

    「聞かれないことまでつい説明してしまう。そのことで余計に、噂話が事実へと底上げされていくような気分となるわたし。聞く勇気も必要だが、聞かれる彼女の準備がまだなんで、今回はかろうじて見合わせる。あるいは、『おれホモ』とカミングアウトする。自爆もまたたのし」



  25. 話は切ったものの、頭の中は遊びにやってくるという“女”友達のことでいっぱい。電話を切る前に、アスパラさんは飛行機の到着時間をさりげなく聞き出していました。こっそり空港に行けば、真実を目撃できると思ったからです。さて、アスパラさんなら、そこまでする気はある?

    「よーし、とことん自分のことしか考えないぞ。目の前に踏絵がある。それを踏まなければ次へ進めないような気分になってるけど、これはわりとあっさり踏めるんだな。それは踏絵でもなんでもなくて、実は違うところで地雷を踏んでしまうのだ。踏んで初めて、自分が踏んでるのが地雷で、気づいたときは足が上がらない。上げることができない。足が一本吹き飛ばされるか、猛ダッシュで振り切るか、インディー・ジョーンズみたいに足の代わりに置くもの探すか? 喩えると、そんな感じ」



  26. 当のことを知りたいという思いに負けて、アスパラさんはとうとう空港までやってきてしまいました。人でごった返す到着ロビーでやっと彼女を見つけた時、ひとりの金髪の男性が彼に駆け寄ってきました。彼は人目も気にせず彼女に抱きつき、口づけまで。彼女もうれしそうです。別の意味で裏切られたアスパラさんは思い切って二人の前に姿を現しますか?

    「踏んだものが地雷かどうかは、踏んだ感触で判断するしかないんで、周りを少し掘ると、大ぶりの球根だったりするかもしれない。つまり、それってアメリカ式の、あのおおげさな挨拶なんじゃないかな? どちらかというとうらやましい、ビバアメリカ」



  27. い抱擁の後のことです。金髪の男性が振り返って手招きすると、そこに金髪の女性が走ってやってきました。そして今度は、その女性と彼女が熱い抱擁を交わしました。心なしか彼女の目がうるんでいるように見えます。すっかり混乱してしまったアスパラさんは、無言でその場を立ち去りました。帰りの電車の中で、アスパラさんは一生懸命ママ頭の中を整理しようとしました。さて、今までの事実から、彼女のレズ疑惑はいくらか晴れたと思う?

    「すっかり混乱してしまいましたので、“事実”を列挙します。そのためにも日記はつけておきたい。
    1. 彼女とは初対面からすぐに打ちとけた(会話確認)
    2. 彼女はわたしの手に自分の手を重ねた(感触確認)
    3. 彼女はわたしの家のすぐ近くでキスを待っていた(推測)
    4. 彼女がレズらしいことを、A男の彼女の友達の話としてA男から聞く(伝聞憶測)
    5. 彼女は2年間アメリカ留学をしていた(伝聞)
    6. 彼女はアメリカからの友達を成田まで迎えに行く(電話確認)
    7. 彼女は飛行機の到着時間をわたしに教えた(電話確認)
    8. 彼女は金髪男性と抱擁し口づけを交わす(目視確認)
    9. 彼女は金髪女性とも抱擁し口づけを交わす(目視確認)
    10. 彼女の目はうるんでいた(推測)
     この“事実”って、彼女がレズだったとしても、ずっと前のことだと思う。レズ友達との親密度と、彼女のわたしへの信頼度を数えると、1対2くらいでわたしへの信頼度が高い。口づけが挨拶だったら、レズの事実は4番だけでしかも憶測。10番で目がうるんでいたのは、久しぶりに会ったからでしょう? つまり、最初からレズ疑惑などなかったと思う。いやー、A男に振り回されたなー」



  28. 日、彼女から電話がありました。でも、電話は留守電にしてあったので、彼女は何も言わずに切ってしまいました。留守電にしていたのは、まだ心の整理がついていなかったからです。さて、アスパラさんなら、この恋はまだ続けたほうがいいと思いますか?

    「電話までのいきさつはほぼ以下の通り。
     カリフォルニアに住むジェーン(仮名)は、あのときの日本からの留学生が忘れられなかった。話題が豊富な日本人はその巧みな英語力を駆使して、ジェーン(仮名)の心をガッチリ捕まえ離さなかった。ジェーン(仮名)の気持ちが単なる日本への憧れ程度ではなく、彼女への愛であることに気がついたジェーン(仮名)はいとこのスティー(仮名)にその心の内を告白する。『あたしあのジャップが好き! I wanna be ジャップ!』スティー(仮名)はあわてて修正する。『それは無理だから、wanna go ジャパンで我慢しよ?』しかし、密かにジェーン(仮名)へ想いを寄せていたスティー(仮名)は心穏やかではなかった。なかば冗談半分、なかばやけくそ気味に『Let's go ジャッパーン to see 彼女!』とシャウト一発。そんなアドバイスに力を得て、ジェーン(仮名)は日本への旅費を貯めることを決心したのであった。
     アルバイトを始めて4年、ジェーン(仮名)の手元には日本行きのチケットが。『帰りのチケットは?!』スティー(仮名)は驚いてジェーン(仮名)を見つめる。ジェーン(仮名)の意志がそれほどまで固いとは思いもよらなかったスティー(仮名)は、自分の一言の重さをあらためて知る。スティー(仮名)はただ、あわよくばアキハバラへ行けるかもと考えただけなのだ。
     あわてたスティー(仮名)は、ジェーン(仮名)の父であるゴードン(仮名)氏へ彼女の固い意志を伝えた。ゴードン(仮名)氏はすでにジェーン(仮名)の気持ちを理解し、スティー(仮名)へ言うのだった。『ジェーン(仮名)の気持ちは私たちには変えられない。ならば彼女の努力でそれが報われるように願うのが親のつとめではないだろうか。スティー(仮名)! ジェーン(仮名)と一緒に日本へ行って、彼女を守ってやってくれないか』そっと目の前に差し出された日本行きのチケットが往復であることをすばやく確かめたスティー(仮名)は、ゴードン(仮名)氏を見上げた。目をうるませたゴードン(仮名)氏の後ろで、彼の妻スーザン(仮名)がスティー(仮名)へうなずいた。『ジェーン(仮名)が追いかけようとしているのは、日本人でしかも女性なんですよ』と念押ししたスティー(仮名)の言葉にも、『まあ、日本人が新しい家族になるのねオホホ』とスーザン(仮名)は笑っただけだった。『さ、早くジェーン(仮名)の気持ちを日本へ届けておくれ』と、スティー(仮名)はゴードン(仮名)夫妻に追い出されるようにして、ジェーン(仮名)と共にカリフォルニアを後にするのだった。
     『日本へ電話をかけました』とジェーン(仮名)は言った。
     『彼女は元気でしたか?』とスティー(仮名)は尋ねた。
     『Oh!, 彼女からもらった成田山のお守りが見当たりません』とジェーン(仮名)は叫んだ。
     『それならさっき、あなたがバッグの中へいれました』とスティー(仮名)は言った。
     『ありました。どうもありがとう』眩しく微笑むジェーン(仮名)
     『どういたしまして』つられて微笑むスティー(仮名)。そんな会話の中、飛行機は成田へ到着したのだった。
     到着ロビーを前にして、ジェーン(仮名)は急に不安になった。『彼女に会えない! 会いたくない!』スティー(仮名)は驚いて『ここまで来て何を言うんだい。あそこに彼女が見えるよ。ヘイユー、久しぶり』スティー(仮名)と彼女は抱擁し口づけを交わした。『さ、ジェーン(仮名)、カマン!』とスティー(仮名)は彼女の前にジェーン(仮名)を押し出した。『4年ぶりね。元気だった?』と、ジェーン(仮名)の成長ぶりに少し涙ぐむ彼女。『この4年間ずっと、ずっとあなたのことばかり考えてたの』というジェーン(仮名)の強い言葉に、こんどははっと息を呑む彼女。そんな彼女の感情の変化を知りながら、『つもる話はこれからだ。まずアキハバラへレッツゴー! ポケモンゲットでチュー!』あくまで(自分の)目的を見失わないスティー(仮名)であった。
     そう考えると、彼女はジェーン(仮名)の気持ちをどう受け止めるべきか悩むわけだ。そうだ、こないだ知りあったアスパラさんに聞いてみよう! なんて電話をかけるわけだ。続けるというより、ここから始まる」



  29. に偶然はつきもの。数日後、街を歩いていて彼女とバッタリ会ってしまいました。彼女は空港で見た外国人2人と一緒でした。「会いたかったんだ。2人にぜひボクの恋人を紹介したくてさ」と彼女。恋人!? 彼女によれば2人は恋仲で、日本にバケーションに来たとのこと。「ね、今夜、空いていない? 4人で食事しようよ」。さて、アスパラさんならこの申し出をOKする?

    「恋かどうかもわからんのに偶然もないが、この質問は期待していた結末を予感させます。偶然とか意外性とか、ネガティブな結末の否定、彼女は本当にレズなのか、2人の外国人と彼女との関係、彼女のわたしに対する考え……。ここまでの質問を一挙に引っくり返すような質問だな。この結末はちょっと受身すぎ。意外性にうれしくなればOKだし、この数日間に電話さえ嫌だったらNOってことでしょ? なんか騙されてるような気分」



  30. ヶ月後の昼下がり、携帯電話がいつものメロディーを奏で始めました。出ると、彼女の声が耳元で聞こえてきました。さて、想像してみてください。アスパラさんと彼女の関係はこの1ヶ月で進展したでしょうか。もっとハッキリ言えば、セックスもする深い関係になっていると思う?

    「すでに彼女がレズではないことは明確だ。2人の外国人も彼女のお友達で、挨拶のしかたがわたしになじみがなかった。久々の友人との対面に、彼女に電話を忘れることもある。彼女からかかってきた電話は違うメロディーが流れる。セックスもするし、食事もするし、映画も観る。でもそれが“進展”した“深い関係”なのかは、よくわからない。ずっと昔に別れた彼女のことをたまに思い出したりする」