おじさんは白馬に乗って|高橋源一郎|講談社|2009/02/03-02/04

おじさんは白馬に乗って|P100x4相当|自|4
カハシさんの本は、言葉がなぜか軽くてとても元気が出てくる

さらば、無責任男
(P006)『ニッポン無責任野郎』に出てくる女性たちは、老婆役の浦辺粂子に至るまで、働くことによって輝いている。そういう女性に対して、「源等」は、深い敬意を抱く。専務や常務や社長は自分が「男社会」に住んでいることに疑いを持たない。つまり「男」なのだ。だが、「源等」は違う。彼は、「男」であることがエラいとは思わない種類の人間、即ち、「おじさん」だったのである
メイド・イン・チャイナ
(P010)(「偽装テレビ番組」、「偽装マンション」、「偽装軍隊」、「偽装年金」)いやいや、「計画と統制と慣例」を最重視し、「官僚機構の肥大と温存」を最大の目的として官僚が存在している政治形態を社会主義というなら、日本こそが最後にして最大の社会主義国家と呼ぶべきだという人も多い。だとするなら、この国は「偽装民主主義国家」なのかもしれないのである
子どもはわかってくれない
(P027)こんな子どもたちにどう対処すればいいのか。いまや、文部科学省も両親も先生も有効な答を持たない。答えることができるのは、消費者マインドから遠いおじさんだけなのだ。では、どう答えればいいのか。決まってるじゃありませんか。「やってみなきゃわかるもんか、ボケ!」
「ぼけるが勝ち」と言ってみたい
(P073)もう学校に行かなくてもいいし、新しく就職するどころか、退職しか待ってないし、いままで以上にもてることも、有名になることも、(たぶん)ない。なにか自分に可能性があったとしたら(ジブリの監督になるとか、IT長者になるとか)、とっくになっていたはずで、いま何もしてないとしたら、これからだって何もないに決まっている。いまのままで死ぬまでいっちゃうことが確定しているのである。いや、楽しいなあ
無名の老人の部屋で見つかったもの
(P083)ヘンリー・ジョゼフ・ダーガー