怖い本8|平山夢明|角川春樹事務所: ハルキ・ホラー文庫|2008/09/11-09/24

怖い本〈8〉 (ハルキ・ホラー文庫)|P205|自|5
りかえしのつかないほど深くえぐった傷を見ないで暮らす

七話マズ席
(P43)最初は断っていたのだが、いちいち断るのが面倒なのと、変ないじわるをしているようで頼まれれば座っても良いことにした。が、それには条件がある。「マズくなるよって言うの。そこはマズ席だからって」
九話忘れ物
(P50)何の話ですか? と問い質すと、その中学校は昔の処刑場の跡地にできていたのだという。「特に部室のある辺りは人骨がボロボロ出てきたらしいんだよ」翌日、彼女はその話を仲間にした。すると、「みんな知っていたんです」
十四話お墨付き
(P75)良かったそろそろ家だわと思い、目を開けた。女の顔が目の前にあった。それは凄い顔で彼女を睨みつけながら。〈家に行くよ〉と言った
十八話捨て場
(P101)目が完全に飛んでいた。『説教殺生はあだんが済んでからに致しましょう』『寝ずに困るのも目と世羅の本尊との関わり合いでござりましょう』はっきりとは判らないが、坊主は口から泡を飛ばす勢いでそんなことを口走ると店内を駆け出して行った
二十一話よりちゃん
(P114)よりちゃんと名付けられたそのカメレオンは神社や事故現場など心霊スポットと言われる場所に近づくと〈色が変わる〉のだという
二十三話大の字
(P126)「凹んだ形が、ちょうど人型だったんです」なんだこりゃ、と動転した。すると目の前で、その手足に当たる部分がズンッと伸び、空き地の端へと向かったのだという
二十五話腐木
(P142)「どうやら父と母が結婚するとき、ちょっとしたトラブルがあったらしいのね。詳しいこと知らないけれど」おかあさんは〈厭なことを念じてる人がいてね〉とだけ教えてくれたという
二十七話賞味期限
(P154)岡本さんのおとうさんは間一髪で命拾いをしていた。「でもな、箱から破れて弾け飛んだボルトのひとつが……」マロを直撃していた。岡本さんのおとうさんが抱き上げると、自分が咬んだ傷口を一生懸命、舐め始め、そのまま死んでしまったという
三十二話空回り
(P183)あ、狂うかもしれない。そう感じた途端、ギュッとブレーキが掛けられる音がし、自転車が止まった。ガクンと少年の躯が前後に揺れると半笑いの顔が首から取れ、彼女に向かって落ちてきた。それは確かに彼女の胸元にポンと落ちたのが布団を通じてわかった。『げぇ』それは一度だけ、そう鳴いた