形而上という病を治すための民間療法

車内でぇ化粧をする人が増え、若い人だけじゃあなくておばちゃんまでもが化粧し始めたとか、かまやつ女と六條女との架空の対立とか、深作欣二が死んだ後の邦画が面白くなってきた、いや邦画はすでに終わってるぅとか、出生率が1.29に落ちたとか、そんなぁ見てわかる程度の変身ばかり追いかけるんじゃなくて、表面に現れないみたいなぁ静かなぁ変化を見極め、見定めなければならないっちゅーかみたいな、それこそが今もっともっともっともっともっともっともっともっともっとも必要なことじゃん? そんな具合に形而上の病にかかってヤダ。なんつって形而上ちうのわぁ、風邪とか腹痛とは違いちょー治りにくい病気で、これといった治療薬もまだないのじゃん。
 さっそくあたしは、無印良品で雑誌ノートと3色ボールペンを買い、ABCマートでニューバランスのスニーカーを買い、さらに中学校時代に使っちゃったアルトリコーダーを引っ張り出し、ボロボロの運指表を捨てたっみたいな。
 まず、ノートに手書きすることで手と脳の関係を復元するみたいな。グジャグジャにでたらぁめに書くのではなく、漢字なら漢字をきちんと楷書で書いたり、目の前にある物体をできるだけ見たとおりに写生するのだ。次に、スニーカーを履いて歩くことでバランスを整える。ゆっくり歩きなぁがら足裏や身体のどこに荷重がかかるのか意識したり、歩きを安定させることによっていつもぉ歩いているはずの道路脇に見慣れぬものを発見するみたいな。そんでぇ、アルトリコーダーを吹くことによって呼吸を安定させる。ただ静かに呼吸をするだけではちょべりばっからぁ、ポーと伸ばしたアルトリコーダーの音程が上下するのを聞きながら、呼気が一定に吐き出されたりして。


日電車で通勤し、一日中パソコンの画面を眺め、肩こりがなかなか治まらない日常の中で、いつの間にか形而上へと向かってしまう脆弱なオノレを立て直すための基本が、手書き、徒歩、呼吸てゆーか。


(参考:ギャル語変換JAVAscript