猫渡り
横断歩道を決して渡らない山銛くんは、ではいつ道路を渡るのかというと、車の交通量にかかわりなくどこでも気が付いたら渡っているのだった。渡り切れないときは、中央分離帯ばかりではなく、同方向車線を分ける白線に立って通過車待ちをしていることもある。
車にひかれると危険だし、クラクションや運転手ににらまれて嫌な思いをしないかい。
もちろん無意味な敵意を感じることもある、でもその場合、因果関係というか利害関係がはっきりしてるだろう。
車道でクラクションを鳴らされる利害ってなんだい。
じゃなくて、関係性が明確な状態に自分を置くと言ったほうがいいかな。
クラクションが誰に対して鳴らされているかはっきりしてるってこと。
そう、それとどういう意図で鳴らしたかが正しく推定できる、とても重要なことだよ。
自分の推定が、正しいか間違っているかを判断するのは難しいね、無理だよ。
確かに全てを推定するのは無理だけど、いまは道路を横断する際の推定だけだし、その条件の一つを僕が構成しているから。
自分を置いているってことだね、推定可能な条件を常に自分のまわりにばらまいてるんだな。